クリムトが描いたのは、ひとりの女性であり、ひとつの宇宙。きらびやかな金の海のなか、まとった服の黒と、こちらを見つめる眼だけが、静かに知性を主張している。
装飾に生命を閉じ込める、この平面的な画面。浮世絵や琳派から学んだものだという。そこに写実的な人体を重ねたとき、彼だけの絵画が生まれた。
“きらめきの眼”は、彼女がまとった小宇宙を、捨てられるはずだった端材のタイルに移したもの。無造作な断面に金と黒が混じり合い、一つとして同じものはない。
失われてゆくはずだったカケラに、新しい生命を。きらめきと知性のまなざしを、あなたに。